天津駐在員が送る中国エッセイ
***************語学の習得には、その国の歴史、思想、習慣などの知識が必要です。 中国は、私たち日本の隣国であり、世界の大国でもあります。これからいやでもうまくつきあっていく必要があります。一緒に中国の事を勉強しましょう。***************
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私たちには理解できない中国人の行動や考え方には、何かの理由があると思います。
それが、歴史の中にあるのか?
社会環境にあるのか?
お互いによい関係を気づくために、理解しあえるようなブログにできたら良いなと思います。



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ラスト・コーションと日本
易先生が家に帰ったとき、四人の奥さん連中が麻雀をしてます。彼は、麦太太(王佳芝)に目配せをします。麦太太は、麻雀を抜け出し、喫茶店に来ます。kuang裕民と暗号を使って電話で連絡を取り、易先生が来るのを待ちます。いよいよ暗殺の決行です。

場面は変わって3年前。上海から香港大学にきていた王佳芝は、愛国青年、kuang裕民と知り合い、彼の誘いで、学校の劇団に入ります。そして、王佳芝は、kuang裕民に心惹かれるようになります。ある日、kuang裕民は、汪精衛偽政権の特務の責任者、易先生が香港に居るのを知り暗殺を謀ります。王佳芝は、麦太太として、易家に入り込み、易先生を誘います。

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王佳芝は、易先生との密会を重ね、彼女は易先生に好意を持ち始めます。スパイとしての自分、kuang裕民を好きだった自分、さらに易先生にも好意を持ってしまった自分の中で苦しみ始めます。


=== この映画は、1940年頃の香港を舞台に始まります。 ===
何故でしょう。

1938年から1945年まで、汪精衛が日本の支援で、南京に中華民国国民政府を作るのと深い関係があります。当時、もともとの国民政府は重慶に遷都しておりましたので、南京に作られた汪精衛の政府は「汪偽政府」「偽国民政府」と陰で呼ばれました。

この映画は、抗日の為の暗殺を描いておりますが、決して抗日という目的で作られたのではないと感じます。戦争という非常な情況のもとで、人々がいかに翻弄されていくのかを描いているのではないでしょうか。スパイとして、一人の女性が自分を投げ出すという事がどういう事なのか、そしてその中でどのように苦しむのか。その異常な体験を描き出しているように思えるのです。


この物語のもとになっているのが、張愛玲の小説だそうです。そして彼女自身が、映画の主人公であるともいわれます。

彼女は、下関条約(馬関条約)に伊藤博文と共に調印した大清帝国欽差頭等全権大臣李鴻章の曾孫に当たります。もともと裕福な家庭に生まれたのですが、彼女の人生は決して幸せとは言えません。幼少期、実母は彼女を残してヨーロッパに行ってしまいます。そして後妻のもとで、弟と一緒に育ちます。ロンドン大学に行く予定でしたが、戦争で断念し香港大学に行きます。しかし、卒業間近になって今度は香港が日本軍に占領された為に上海へ戻ります。不幸はそれだけでは終わりません。1944年胡藍成と結婚し、1947年に離婚します。まさに、汪偽政府と運命を共にしたような結婚です。結婚した胡藍成は、彼が書いた文章を汪精衛に認められ、1940年汪偽政府成立後,汪偽政府宣伝部常務副部長をつとめていたのです。当然日本の敗戦、汪偽政府解散と共に彼も香港から日本へ逃げてきます。

この映画の主人公王佳芝の人生と重なる部分が大変多くあります。

この映画の中には、日本人はでてきません。(ちょっと通りすがりのような形ではでてきたのかもしれませんが)、しかし、その背景には、日本の政府、軍隊があるのは間違いありません。日本人には是非みていただきたい映画です。

堅苦しいことを書いておりますが、この映画の李安監督は、忠実にセットなどを作ったと言います。この人は非常に細やかな人のようで、いろいろな角度からその時代を検討し細部にわたって当時の状況を作り出したようです。そういう意味では、この映画は当時の香港や上海の様子を知る貴重な資料にも成ります。そして、彼が私たちに見せてくれる映像が大変美しい。ラストサムライで描き出された日本のように、見事に解放前の近代中国の美しさを描きだしてくれております。

歴史映画、戦争映画、恋愛映画、中国映画として、いろんな角度から楽しめる映画であると思います。

今丁度、林思雲さんの「真実の汪精衛」のあらすじを紹介しておりました。長い文章ですのでなかなか進まず、やっと半分くらい来ました。この映画を見る方のために、途中を飛ばして最後の汪偽政府の事が書かれている所を、映画が日本で放映される来年の1月までには投稿しようと考えております。映画を見る前に是非読んでいただけたらと思います。





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